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※この物語はフィクションです。 その夜、惨劇の宴の幕は開かれた。
発端は何だったのだろうとかという詮索はいらない。
もう開かれてしまったのだから仕方がないのだ。
僕は疲れた体をひきずりながらも
このまま朝まで特別な夜を満喫しようと酒を呑んでいた。
何の事はない。いつもの宴の席での雰囲気である。
ふと、一人の男に声をかけられる。
呼び出された僕は
何の話なのかも知らずにふらふらと
男に招かれて行った。
その先には、数人の男達。
何かの相談をしているようだ。
会話の内容からして、
その男達は何かの「出し物」の打ち合わせをしているようだった。
出し物。
芝居の打ち上げではよくある風景だ。
今回の芝居のシーンをパロディ化して、苦楽を共にした仲間達、
その現場に居合わせた人間にしか解らない面白さを味わうのだ。
しかし、更に話を聞いていると
とんでもない事が判明する。
出し物は出し物でも、
出るモノを出す
出るモノが出る。
いや、必然的に見える。
見せたい。
何の脈絡から、こんな事になったのかは知らないのだが
こいつら全員出す気満々らしい。
しかも、その奇行に僕まで巻き込むつもりだったから困った。
いや、そんなまさか。出すなんて。
未だかつて、一度だってそんなネタに走った事は無い。
むしろ拒否してきたクチなのだ。
しかし、いかんせん目の色が本気な奴等を見た瞬間、
もう片意地も張ってられないなと諦めた。
段取りの打ち合わせを済ませ、各自袖(?)で待機。
予定では、数分後に曲キッカケで始めるのが
思ったよりも早く、というより心の準備が全然出来ていない状態で
スタートしてしまった。
急いでパンツまで降ろしたが、既に出るキッカケを逃した後。
「今出たらマズイ。」
何故か演者全員がその空気を読み取って、誰一人出られなかった。
一番間の悪い所で「わー」という感じで出る事に。
もう初めてとかそんなの関係ない。無我夢中で素っ裸で僕は皆の前に出た。
やはり、ウケの方は微妙だった。
号令と共に、全員楽屋集合。
「ぅお前等ふざけるなアッッ!!」
真っ先に怒号を飛ばしたのは、リーダーこと海綿体マンその人である。
海綿体マンというのは、小屋入り初日から楽屋を支配していた怪人。
その人のせいで、公演中の流行語大賞に「海綿体」が上がってしまう程の
影響力の持ち主である。名前の由来は、サポーターからはみでた海綿体が発端。
他のメンバーと違い、海綿体マンは先程のネタに命を張っていたらしく
せっかくの出し物がグダグダに終わってしまった事にかなり憤慨していた。
失敗したのが余程悔しかったらしい。
あんたも二の足踏んだんじゃなかったのか。
とにかく、リベンジという事でもう一度違うネタで勝負する事に。
先の失敗を踏まえて、何が足りなかったのかと更に綿密な打ち合わせをする。
「次は照明も使って暗転からカットインで全裸で行こう」
「台詞キッカケに重きを置いて、本番のつもりで」
「自分で笑うな。客が引く」
「戦隊の名乗りのシーン、海綿体レンジャー!で行く」
精神面は海綿体マンの指導のもと、少しずつ形に仕上がっていく方向に。
そして、新たなる参加者が。
怪人役のプロと
新参者の「俺、やりますよ!」
この言葉に騙され、まんまとレッドというポジションにしてしまうハメに。
これがいけなかった。
本番、怪人の高笑いの後の台詞の後レッドの「待て!」
ここまでは良かった。
その後、同じネタを何度もループする事に。
失敗しては楽屋へ戻り、海綿体マンのダメ出しが始まる。
海綿体マンの気合いは凄い。
ネタが終わった後のメンバーは、そそくさとパンツは履いてから
楽屋へ集合するのだが
彼に至っては、常に全裸。ダメ出し中も全裸で
怒りと共に海綿体がアクティブに動く動く。
「とにかくお前等気合いが足りないんだ!」
もはや宴会芸の域ではなくなっている。
よし、次こそ本意気で行くぞ!
もう何度も聞き飽きた台詞だが、そんな時でも
海綿体マンは完璧を目指す。
結局、メンバーの意識のバラツキが要因で
何度やっても同じ結果に。
海綿体レンジャーあえなく撃沈。
それでも海綿体マンは最後まで納得しなかった。
「コレでダメって、役者としてどうなの?」
「俺なんか本役だったのに、レンジャー失格だよ…」
その自問自答は、翌朝を迎えても続いていた。
「…もう、これは本当の舞台でリベンジするしかないな」
次回公演、「海綿体レンジャー」実現なるか。
それは、海綿体マンの心ひとつなのである。
〜終劇〜
※くどいようですが、団体、人物名は架空のものを使っており、
物語は全てフィクションです。
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